鏡は憎しみの向く先に――「ヴィンランド・サガ」9話感想
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それはあんまりにも立体的で。
ヴィンランド・サガ 第9話「ロンドン橋の死闘」
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

「ヴィンランド・サガ」9話。隣人とは分かり合えない。しかし軽蔑し憎むその相手こそは、汝の同類である。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
ロンドンで守勢として大暴れする「のっぽのトルケル」は、本来は攻め手のデンマーク側の人間だ。去年までは実際デンマーク側におり、イングランド軍の弱さも時代の流れも見えている。そこまで聞いたフローキは、隣人トルケルは降伏するつもりと理解する。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
しかしそこから先のトルケルの思考が、フローキには理解できない。強い相手と戦った方が楽しい、というのは想像もできない。トルケルを金目当てと軽蔑するビョルンの方がまだ近いが、楽勝というから攻め手に加わった彼にもやはりトルケルの思考は分からないだろう。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
剛力無双、余人を寄せ付けぬトルケルにトルフィンは肉薄する。勝つために相手を理解し、勝つために相手の理解を超えようとする戦いは、近しい強さの隣人との理解と不理解のせめぎ合いでもある。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
隣人とは分かり合えない。デンマーク軍が去ったことで、戦う機会を失ったトルケルは怒り叫ぶ。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
しかし軽蔑し憎むその相手こそは汝の同類である。進軍の矛先を変えたヴァイキングは、次なる戦場を欲している。#ヴィンランド・サガ
重傷者と食事。落城と侵攻の失敗。諫言者と教育失敗の責任者。隣にあるものはあまりに相反していて、しかしその相反するものこそが同類なのだ。トルフィンもまた、その渦中にいる。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
トルフィンはトルケルとヴァイキングを共にイカレ野郎と罵倒する。しかし復讐の一念に囚われ、怪我を押して行軍を続け、悪鬼のような形相を浮かべる彼もまた、傍から見ればどうしようもなくイカレ野郎の一員に過ぎない。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
トルケルの規格外の存在感もあって、右も左もどうしようもない世界が広がる回というように感じました。次回も楽しみです。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
追記。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月2日
分かり合えない隣人こそが同類である……というのは、トルフィンとアシェラッドにも示唆されている部分。トルケルの存在はそういうものも浮かび上がらせているように思う。#ヴィンランド・サガ
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ヴィンランド・サガ 感想リスト
ヴィンランド・サガ 第1話「ここではないどこか」第2話「剣」第3話「戦鬼」
ヴィンランド・サガ 第4話「本当の戦士」 *簡易感想
ヴィンランド・サガ 第5話「戦鬼(トロル)の子」
ヴィンランド・サガ 第6話「旅の始まり」
ヴィンランド・サガ 第7話「北人」
ヴィンランド・サガ 第8話「海の果ての果て」

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