境界線は煙中に消ゆ――「ヴィンランド・サガ」11話感想
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「昔話をする時間はなさそうだな」……何時間でも聞き続けるトルフィンも見たいような。
ヴィンランド・サガ 第11話「賭け」
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

「ヴィンランド・サガ」11話。アシェラッドの放った火煙によって、戦場は敵味方の区別がつかなくなる。今回の話は全て、この煙の中のように区別を失っていく。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
冒頭描かれるのはヴァイキング達のイングランド慣れだ。この地の女に魅力を感じ、酒とチーズに舌鼓を打ち、キリスト教は彼らの中にも流行りつつある。侵略する側である彼らと、その対象であるイングランドの人々の区別は薄れていく。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
奇跡と魔法を比較したり、スヴェン王との戦いの欲求を恋する乙女になぞらえる語りなどもいずれも区別をなくした語りであり、そこには野卑なウィットが効いている。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
そんな彼らをイカれている、戦バカだとラグナルは罵るが、トルケルの言葉はむしろヴァイキングとしては古式ゆかしいものだ。重度の酒狂いの神父の姿と合わせて、蛮族と敬虔な信徒の区別は薄れていく。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
戦バカのトルケルは戦に関してバカではない。見えない情報への目鼻の良さは群を抜き、無策と挑発は区別をなくし、ラグナル達を救出に来た部下はいいようにトルケルの手のひらの上で転がされる。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
その間隙を縫うアシェラッドの策もまた、様々な区別を失わせるものだ。クヌート王子を救うための火煙は彼を殺しかねず仮に殺してもどうとでもでき、一方でアシェラッドはそんな中からトルフィンが王子を救出することを期待してもいる。難題にぶつけるのは、信用あらばこそ。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
火煙は区別を失わせる。境界線を消す。確かめもせず突く兵をたわけと罵ったラグナルはヴァイキングの声掛け確認に騙され、闖入してきたトルフィンが味方とも素直に信用できない。トルフィンもまた、敵であるトルケルが父を知りまた称賛する近しい男であることを知る。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
トールズを称賛するトルケルの言葉を聞いた時、トルフィンの表情から険が取れる。復讐者トルフィンと父を慕う少年トルフィンの境界線はこの時、煙の中に消えている。#ヴィンランド・サガ pic.twitter.com/YSOrBMzwh4
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
アシェラッド達は果たして、男女の区別を失わせる美しき要望のクヌート王子を守りスヴェン王のもとへたどり着けるのか。次回も楽しみです。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月23日
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ヴィンランド・サガ 感想リスト
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ヴィンランド・サガ 第4話「本当の戦士」 *簡易感想
ヴィンランド・サガ 第5話「戦鬼(トロル)の子」
ヴィンランド・サガ 第6話「旅の始まり」
ヴィンランド・サガ 第7話「北人」
ヴィンランド・サガ 第8話「海の果ての果て」
ヴィンランド・サガ 第9話「ロンドン橋の死闘」
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