消えないもの、忘れないもの――「グランベルム」13話感想
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咲くべき時に。
グランベルム 第13話(最終回)「世界で唯一のふたりのために」
©ProjectGRANBELM

「グランベルム」13話。どんなに書き換えようとしても全部はなくならない。満月の結論は魔力に留まらず、しかしそれ故に1つの疑問の余地を残していた。それは、世界から魔力を無くすことは世界を書き換えることではないかということだ。今回はそれを軸に書いていきたい。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
マギアコナトスの封印へ近づく新月の魔術的才能は更に加速していく。それはマギアコナトスが魔力を与えているからであり、自分も同様だと水晶は語る。共に欠損部を再生させるなど、両者は近しくなっていく。書き換えてきた者と書き換えようとする者の争いは、力で済ませるものではない。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
故に、水晶を撃破するだけでは魔術師は生まれない。魔力をなくせばそれに関わる全てが消えることになる=それはマギアコナトスがアンナや九音を消したのと同じだが、どう考えるかという問いに答えなければプリンセプスの冠は与えられない。それが最後の試練。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
その最後の試練において、満月の姿と存在は新月にヒントを与える。満月は書き換えによって生まれたものであり、彼女をどう捉えるかは書き換えをどう捉えるかという問題に直結するからだ。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
新月の心の弱さに反応し、彼女を試すため作られた人形。順番としてはそれが満月の始原だが、物語としては逆だ。普通の少女という満月の自己認識は、自分は人形なのだと書き換えられた。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
けれど、書き換えられてもそれは全てを無くしはしなかった。始原が人形だとして、そう作られたとして、なら、満月の抱いた思いは全て人形の嘘だろうか? 最後のグランベルムに向けて新月にかけた言葉は嘘か? 否。それは確かな親愛なのだと、満月が最後に浮かべた涙が新月に教える。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
新月が願いを叶えたことで、世界は魔力を持たぬよう書き換えられた。だが、それはこの物語の全てがなくなったことを意味しない。寧々が本来の身長を取り戻しても希望は彼女をちゃん付けで呼ぶし、クレアはロサと過ごしているし、四翠は昏睡状態にはない。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
現在の彼女達の状況は詳説されない。僕としては、寧々と希望の同級生としての時間もクレアとロサの捏造された姉妹関係も四翠の昏睡の過去も全てが書き換えられたのだと思うが、重要なのは彼女達から、そこに作中の出会いを通して生まれたものが全てなくなってはいないことだ。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
魔力のない世界に書き換えても、魔力を巡り生まれたこれまでが全てなくなってしまうわけではない。失われた者達が戻らないのと同様に。満月が人形ではないと気付いたことで、新月はそれに気付いた。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
新月はマギアコナトスの目的を問うた。結局人格を見せることはなかったが、マギアコナトスはきっと、魔力を解放するにあたって(世界を書き換えるにあたって)一千年前の選択を全て消そうとしない人間を求めていたのではないか。だから、魔力をなくしたいという新月の願いに惹かれた。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
そういう人間であるか見定めることがグランベルムの最後の試練であり、満月が人形ではないと気付くことで新月はそれを乗り越えた。そう捉えるなら今川監督作品も真っ青なくらい真実へ遠回りしたお話だったが、確かにそのまま伝えて理解されるものでもないかもしれない。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
魔力のない世界に書き換えても、魔力を巡り生まれたこれまでが全てなくなってしまうわけではない。それは確かに、魔力から生まれた満月にもあった。その部分が新たな世界でどのように残っているのかは、もう私達の知り得るところではない。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
けれど私達はきっと、本作の世界から失われたものまで含めて忘れることはないだろう。忘れても、私達の意識のどこかに染み通って残るだろう。ワスレナグサが咲く。「forget-me-not」が咲く。私達の心に咲く。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
以上が、今僕が捉えているグランベルムの姿になる。いやー、疲れた。一筋縄ではいかないのは早々に分かっていたが、11話で本作との関係は一度徹底的にこじれてしまったし、今回の感想にしても的外れと言われてもおかしくないと思う。分からないことはまだいっぱい、とにかく難解だった。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
それでも、そういう作品との出会いが僕に新しい何かを残してくれる。力を持った作品であることは疑いようがないように思います。スタッフの皆様、お疲れさまでした。#グランベルム
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
1話で噛ませ犬役を果たし雨に濡れるロサにキュンときた身としては、全く別の人生を送る彼女がそれでも幸せに生きるのを遠くから見守るほかありません。娘の嫁入りを見送るor生き別れた娘を見る父の感情ってこういう感じなのでは……?(身勝手な入れ込みを披露して終わる台無しマン)#グランベルム pic.twitter.com/TiFrB4RH0r
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年9月28日
関連:
グランベルム 感想リスト
グランベルム 第1話 「世界で唯一の魔術師」
グランベルム 第2話 「私がここにいるために」
グランベルム 第3話「満月に鐘は鳴る」 第4話「風水師リンフェンフェン」 *簡易感想
グランベルム 第5話「小さな少女の小さな願い」
グランベルム 第6話「魔石」
グランベルム 第7話「ミス・ルサンチマン」
グランベルム 第8話「魔術師になるということ」
グランベルム 第9話「ノクターン、染め上げて」
グランベルム 第10話「もの思う人形」
グランベルム 第11話「たとえさよならが届かなくても」
「グランベルム」11話再考――書き換えようとしても無くならないもの
グランベルム 第12話「マギアコナトス」

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【言及】
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