妖怪の定義――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」76話感想
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大塚明夫の演技に震えろ。
ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第76話「ぬらりひょんの野望」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション



「ゲゲゲの鬼太郎」6期76話を視聴。ぬらりひょんのインパクト十分の6期初登場回ですが、彼は何か妖術を使ったりしたわけではありません。したことは政治家に賄賂を送り、ゴルフ場建設中止を餌に土転びを仲間に引き入れる。人間にもできることでしかないのですが、次元の違うところで事態を操るぬらりひょんに鬼太郎も土転びもまんまとしてやられ――「化かされて」今回の話は終わりました。彼が働きかけた政治の世界はよく魑魅魍魎や妖怪の住処に例えられますが、ぬらりひょんの策はそれそのものが妖怪じみています。つまりこの新シリーズにおいて妖怪とは、肉体の特異性ではなく、その心根や行動によって決まるものだと定義されたのです。
また、鬼太郎を圧倒したぬらりひょんは、しかし彼と手を組まない政治家からは元号が2つ前であるかのようだと古さを指摘されました。2つ前の元号「昭和」……この時期の出来事、価値観は未だ私達を縛って離しません。始まりの1926年から計算すれば100年近くが経過したこの元号から引きずっているものは、見ようによってはある種の妖怪と化しているとも言えます。そんなものをぬらりひょんは背負って、しかも未だ強い力を振るっている。彼の言う「妖怪」の復権とは、おそらく鬼太郎の願う妖怪と人間の共存とは大きく違う。そこで志向されているのはおそらく、古い価値観を見直すどころか絶対的に立ち返らせようとすることなのでしょう。
かつて「昭和の妖怪」と呼ばれた政治家がいました。彼の子孫が誰であるかを考えるだけでこのぬらりひょんは相当に風刺的な存在であると言えますが、その内実にはもっともっとどす黒いものが秘められていそうです。最初にぬらりひょんと聞いた時は「もっと早く出すべきキャラでは?」と思ったのですが、確かにこのぬらりひょんほど最終章に相応しい妖怪はいません。覚悟を感じる最終章の始まりでした。
先週までの僕「最終章にぬらりひょん? 旧作ではコミカルさもあったし、しぶとく生き残る中ボスの方がいいのでは?」
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月6日
今週の僕「こんなの最終章でしか扱えるわけがない。サーセンでしたーーッ(土下座)」
昭和と妖怪を結びつけるとか、とんでもない政治的風刺をぶっ込んできた。#ゲゲゲの鬼太郎 pic.twitter.com/4iUKXZI0V3
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