肉と野菜のスープ――「ヴィンランド・サガ」15話感想
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そこから生まれる味は。
ヴィンランド・サガ 第15話「冬至祭(ユル)のあと」
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

「ヴィンランド・サガ」15話。村人を救えなかったヴィリヴァルドは、修道士の根幹のはずの神への愛に対する疑念を口にする。今回の話では、絶対だったはずのものが崩れていく。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
例えば、これまで絶対的な精度を誇ってきた耳の探査も、雪が積もれば聞き取れる範囲は狭まる。村民を皆殺しにしてまで得た隠れ家もけして安心できるものではない。また貴族は食うばかりと思っていたトルフィンの考えは、自ら料理を作るクヌートによって崩される。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
ラグナルの野菜とトルフィンの兎のように、崩れたものは共にスープとなる。混ざり合っていく。自分とクヌートは違うと思っていたトルフィンの心が、クヌートの父への言及に揺さぶられるように。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
ヴィリヴァルドの「父」への疑いに対するクヌートの動揺は、彼の父王への思いを顕にする。彼が「父」へと熱心に捧げる祈りは、父へすがる思いもまた混ざり合ったものだった。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
混ざり合うことは必ずしも幸せを意味しない。トルフィンが伝令をそれと知らずに警戒したのは、伝令のもう1つの目的であるラグナルへの殺意を感じ取ったからだろう。敵と味方はこの時、混ざり合っている。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
だいたいがクヌートが平和に料理をする家屋は、数日前までは村人が自分の運命を知らずに暮らしていた場所なのだ。笑顔と安らぎは、無惨の兎と共に煮込まれたスープの産物。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
所在を掴まれたことは、アシェラッドにとって危機であると同時にラグナルを始末する絶好の機会でもあった。謀殺は謀殺と知られてはならない。あくまでそれは、よくあるその他の死と混ぜて煮込まれなければならないのだ。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
自らを罠にかけた憎む相手。大切な王子を預ける相手。相反する2つを混ぜて煮込まれたアシェラッドというスープに、ラグナルはクヌートの置かれた状況を伝える。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
クヌートとその兄ハラルドが、自らの意思と関係なく権力争いに混ぜ込まれていること。このイングランド侵攻が、勢力伸長とクヌートを戦死させる目的を混ぜたものであること。クヌートにとってスヴェン王はもはや、父と敵が共に煮込まれた存在であること。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
出血多量で混濁するラグナルの意識の中で、現実と幻覚は同じスープに落ちる。一目別れを告げることを断られても、ラグナルが心の中でクヌートを見ることは止められない。それは心の中の逃げ場、ヴィンランド。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
かくてアシェラッドはクヌートに関する問題を1つ解決すると共に新たに1つ抱えることになった。彼の今後を危ぶみ始めた部下達も、絶対なる彼への信頼が崩れることで別の姿を煮込んだスープになっていくだろう。冬は、これからだ。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年10月21日
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