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まつりごと、祭り事、政――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」79話感想


 招き猫みたいなポージングだな。



ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第79話「こうもり猫のハロウィン大爆発」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 「ゲゲゲの鬼太郎」6期79話を視聴。どこかで聞いたようなフレーズ(公式によるとアドリブらしい……)も出ていてまさしく馬鹿騒ぎのような話でしたが、内容には一貫した要素があります。それは「化かす」ということ。妖怪が主役の本作で化かすと言うとどうしても特殊な力ばかりを連想してしまいますが、そんな力はけして必要ではありません。空を飛んだり髪の毛を飛ばしたりなどできないねずみ男は、悪知恵を働かせてこうもり猫を見事に騙している――「化かして」います。

 化かすとは人の心を操り正常な判断を失わせること。そういう意味では、日本のハロウィンに代表される祭りの熱狂とは、集団が自分達で自分達を化かす行為であるとも言えます。そこでは妖怪が妖怪として扱われず、敵味方の境は曖昧になり、実力は怪しくなり過大にも過少にもなる。そして祭りが終わった時、熱狂と共にあったものは雲散霧消してしまう。「化かす」のだから、そこには実体がない。

 全体的にコミカルだった今回、鬼太郎は勝ったのでしょうか?否。ハロウィンの熱狂に紛れてカミーラはバックベアード復活のための生き血を集めることに成功しました。彼女は鬼太郎と戦うことなく目的を果たしたのであり、それは政治的勝利と言えるものです。 「政治的勝利」……政治を「まつりごと」と呼ぶのは、かつて祭祀と政治は同じ者が行うものだったことに由来します。祭りを利用して政治的に勝利したカミーラは、まさしく鬼太郎達を「化かした」のでした。

 以上のように、この79話は祭祀と政治の一体性を現したお話だったと見ることができるわけですが……果たしてそれは、今回の比喩に留まるものなのでしょうか。祭祀を行う者と政治を行う者は別々になりましたが、その2つは本当に分離しているのでしょうか。それに限らず、私達は熱狂の中で何かに化かされていないでしょうか。コミカルな一方で、この最終シリーズのぬらりひょんに通じる示唆に富んだ回であったように思います。

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