瞳は顔に乗る――「ヴィンランド・サガ」20話感想
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トールズ殺害の依頼者なのになんだか哀れさの方が先に立たないでもない人。
ヴィンランド・サガ 第20話「王冠」
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

「ヴィンランド・サガ」20話。クヌートがトルケルを従え生還したという報が信じられないフローキは、事実を前に滑稽なほどうろたえる。前回は目が語る回だったが、今回の語り部を務めるのは「顔」「面」(おもて)。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
意志の光を宿す目が示すものは一義的だが、顔は見る角度や装いによって見せるものも変わってくる。十字架を見上げるクヌートは、その瞳に怒りの険を添えて父たる神を睨め上げる。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
画面上では隠されていたスヴェン王の「目」。初めて描かれた瞳にアシェラッドは疲れを見る。そこには暗闇の中で隠せぬ眼光が無い。例え演出の結果であっても、それは刻まれた皺と共に衰えを語る顔となる。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
事実、スヴェン王が語るのは、良きことを果たせると信じ叶わなかった己の半生に対する嘆きと諦観の言葉だ。おそらく、それを語れる相手はこれまで彼の前に現れたことはなかった。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
神にも等しき力を持っていることは、王の一「面」に過ぎない。それほどまでの力を持っていても王冠の奴隷に過ぎず、また孤独な存在であること。スヴェン王の言葉は、王たる者の側「面」を照らし出す。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
新たな面を見せるのは、スヴェン王を鑑定するアシェラッドも同様だ。その名があだ名に過ぎぬこと。いつも余裕を残しているような彼も、母への侮辱に対してはトルフィンが驚くほどの怒気を漂わせること。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
宴席が密談向けという側面を挟み、アシェラッドの新たな一面はなおも描かれ続ける。自分を裏切ったアトリに対する寛大さと、餞別に加えもう戦わないよう助言する温情。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
自らにも流れるデーン人の血を軽蔑し、またそこから抜け出せずにいた彼は、今や仕えるべき真の王を見出し飛躍の時にある。だが、喜びを分かち合う仲間は彼にはない。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
夜と雪と川は、アシェラッドの一面を映し出す。孤独なのはスヴェン王だけではない。その座を狙うクヌートと並んで椅子に座るアシェラッドもまたそうだ。好き放題に生きながら皆に好かれるトルケルが備えるものが、彼には無い。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
別人と見紛うひげ剃りヴィリバルドや、兄弟でも無二の忠臣から油断ならない相手に姿を変えるトンガリハゲなどにも「顔」を見いだせる良い回でした。次回も楽しみです。#VINLAND_SAGA
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年12月2日
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