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隠匿と開放の文化交流――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」84話感想


 さりげに前期ねこ娘役の今野宏美さんが出てたな。



ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第84話「外国人労働者チンさん」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 「ゲゲゲの鬼太郎」6期84話を視聴。今回の妖怪はチン……さん。名前を言おうとする度に様々な音声が入り明確にはされません。また、原典では特異性を象徴するその生殖器は出すだけで警察がやってくる。これらに共通するのは「隠さなければ日本ではやっていけない」ということです。
 チンさんが隠匿を強いられるのは、生まれたままの名前や姿だけではありません。感情もです。見つけた就職先は外国人労働者を差別し、低賃金で長時間働かせる場所であり、しかしそこで不平不満を口にすればクビになってしまう。就労ビザやパスポートすら奪われてしまう。おかしいことに対しておかしいと言うのを隠さなければ、生きていけない。

 隠匿は我が国の文化です。鬼太郎ですらチンさんの就職先の悪辣さに対して、そんなものに関わるのはくだらないから自分ならやめるか我慢すると言いますが、それは事実上ネットでよく見かける「嫌ならやめろ」がいくらかマイルドになった感覚に過ぎません。隠匿しておいて「平和ですね」などとすら言う。もちろん、鬼太郎がそうした人間社会の問題に関わるのはとても難しいものではあるのですが。

 隠匿することを我慢できなくなったチンさんを抑えたのは鬼太郎ではなく、まなでした。彼女のチンさんへの好意や行動には掛け値もなく衒いもない――隠匿がない。だから彼女の言葉こそはチンさんに届く。酷いことをされたからといって、自分も相手に酷いことをしていい理由にはならない。それもまた、「おかしいことに対しておかしいと言う」ことです。それに応じて怒りをおさめるのもまた、隠匿の1つの形なのでしょう。
 今回のお話からはそういう、文化交流とでも呼ぶべきものを感じることができました。とはいえそれがメインであるならば、私達日本人が外国人労働者を劣悪な条件で働かせているという問題は舞台として大き過ぎたようにも思います。働ける場所の少なさなどに言及するのが外国人のパウロだけなので、どうも「私達の問題」としての距離感が乏しい。なんなら「運悪く酷いとこに当たっちゃったね次は頑張って」くらいの感がある。そういう点で、ちょっと不満もある回でした。

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