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話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選


 「新米小僧の見習日記」さんでまとめられている 「話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選」企画、今年も参加させていただきます。ルールは以下の通り。


・2019年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。





<No.1: ライフル・イズ・ビューティフル 第5話「予選・イズ・エキサイティング」>
©サルミアッキ/集英社・千鳥高校射撃部
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 名前を聞いたことがあればいい方、くらいマイナーな競技のアニメからは、ひかりの全国大会予選の5話を。
 この話はひかりが全国大会に向けて狙いを修正する話であり、エリカ達が彼女に対する評価を修正する話であり、そして、私達視聴者が本作に対する見方を修正する話でもあります。「試合描写なんかいらない、キャッキャウフフしていてくれればいい」つもりが、気付けば固唾を飲んでひかりの射撃を見ていたという方、多いのじゃないでしょうか。
 後半さらに盛り上がるとも聞いていますが、そのための土台としてもこの回の良さは揺るぎません。

関連:
立て直しに必要なもの――「ライフル・イズ・ビューティフル」5話感想
ライフル・イズ・ビューティフル 感想リスト




<No.2: エガオノダイカ 第12話(最終回)「笑顔の代価」>
©タツノコプロ/エガオノダイカ製作委員会
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 まあ待て。減点評価でどれだけでも下がる作品だとは思っている。それでもこの、遠い遠い星に生まれたある二人の女の子のお話から選びたい。
 貧富、国、生死、価値観などありとあらゆる隔たりを越えてなおその先にも隔たりを描き続けた本作。その終わりのない隔たりの先に結局何があるのか?という疑問に対し、この最終回は「未来がある」のだと答えてくれています。
 願う未来、目指すべき未来と現在の間には常に隔たりがある。クラルスを止めただけで上手く行くはずがない、というのももっともな指摘であると同時に、本作に遍在する隔たりの指摘に他ならないのです。
 自分の感想、レビューについて悩んだことも含めて、本作の視聴は深い思い出となりました。

関連:
隔たりの向こうへ届け――「エガオノダイカ」12話感想
エガオノダイカ 感想リスト




<No.3: ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第40話「終極の譚歌 さら小僧」>
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 いよいよ最終章に突入した怪異の物語からは、芸人の末路を描いた回を。
 この回はけして、浅はかな男が道を踏み外すのを見せる教訓譚などではありません。どんなにみじめになっても夢を捨てきれなかった男が全てを、そう、倫理も家族も命も全て捨てて夢に殉じたお話です。主人公である鬼太郎にすら理解されないからこそ、この愚行は孤高の価値を得る。
 今年も素晴らしい回を多く見せてくれた本作ですが、1月に放送されたこの回はそれら全てを超えて僕の中にそびえたっていました。

関連:
愚行の価値――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」40話感想
ゲゲゲの鬼太郎(第6期) 感想リスト




<No.4: ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第27話「キング・クリムゾンvs.メタリカ」>
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会
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 裏切り者達の物語からは、正義なき対決回を。情感たっぷりに仕上がった翌28話も捨てがたいですが、思い入れも合わせてこちらを選びました。原作は連載時に読んでいましたが、アニメでこの話を見たことで、リゾットの能力が「過程を歪める力」であること、そしてその歪みが能力を超えて視聴者が肩入れするキャラや敵味方の関係にまで及んでいる秀逸な構図を見出すことができたのが大きいです。
 個人的に5部でもっとも記憶に残っているリゾットの魅力を、最大限に引き出してくれた回でした。感謝。

関連:
狂った過程をねじ曲げて――「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」27話感想
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 感想リスト




<No.5: どろろ 第15話 「地獄変の巻」>
©手塚プロダクション/ツインエンジン
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 現代に蘇った奪われし者の物語からは、二人旅が一度終わる15話を。
 作画の評判があまりよろしくなく、実際省力化も念頭に置かれた回だったとは思うのですが、そこにどこかおとぎ話のような雰囲気があって嫌いになれません。
 なにより、燃える倉を呆然と見る鯖目の表情がどうしても忘れられないのです。頭を撫でてやりたくなる表情というか。泣いている孫を優しくあやす祖父や祖母の気持ちって、こういうものなのかもしれません。

関連:
取り戻してしまう者達――「どろろ」15話感想
どろろ 感想リスト




<No.6: グランベルム 第5話「小さな少女の小さな願い」>
©ProjectGRANBELM
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 女の子とSDロボットが戦うかわいいアニメ、ではなく情念と苛烈さに満ちた作品からは寧々との決戦回を。
 当時の感想にも書いたように、寧々が優秀と評価される場面を見る度に涙ぐんでしまいます。そうあるために彼女がどれだけ努力したか、にいつも思いを馳せてしまう。
 そして本作のテーマを「書き換えようとしても全部はなくならない」と見立てた今となれば、それは寧々が母に捨てられた自分を書き換えようとした日々だったことも見えてくる。見返してみて、敗北して「お母さん」ではなく「ママ」と呼ぶあの姿に戻ったことが、全てを書き換えられなかったことが彼女には必要だったのだと感じました。物語の終わりで記憶を書き換えられようと、この経験が彼女に与えた影響もまた消えないのです。

関連:
積み重ねるもの、剥がれ落ちるもの――「グランベルム」5話感想
グランベルム 感想リスト




<No.7: 荒野のコトブキ飛行隊 第12話(最終回)「夕陽のコトブキ飛行隊」>
©荒野のコトブキ飛行隊製作委員会
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 無限の空を行く少女達の物語からは、終われども続く12話を。険しくも果てなく広がる荒野とはすなわち自由であり、そしてそれは私達が未来に取り得る選択肢の広さでもある。世界は、私達が全てを知れるほど狭くない。
 1話ではムキーッって感じで因縁の相手を追いかけていたキリエが、最終回に至ってこんな穏やかな表情をしているのが好きです。空戦の格好良さはもちろんですが、何より僕はこのイジツで生きている人々に魅力を感じてやまないのです。

関連:
荒野は無限の空――「荒野のコトブキ飛行隊」12話感想
「荒野のコトブキ飛行隊」キャラ描写の薄さに見る世界の広さ
荒野のコトブキ飛行隊 感想リスト




<No.8: 通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? 第12話(最終回)「その願いは叶えないでくれ、と強く願った。だが願いは叶えられた。」>
©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
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 バカバカしさ全開の題に無視できなかった作品からは、フロンティアを見つけ出す最終回を。
 母親がチートじみた強さで問題を解決していってしまうこの作品の「冒険」とはいったい何なのか? ほとんど頓知と言ってもいい回答は僕の目を見開かせてくれ、それを元に捉え直した本作の姿は愉快そのものでした。そのあたりは「深夜アニメの歩き方」に寄稿した未視聴者向けレビューで触れていますので、視聴しなかった方や序盤で切った方もぜひ。
 上記のレビューは今年僕が書いた中では一番の出来と自負していますし、それが「アニメ視聴ペアダンス論」に繋がったことも含めて、この作品との出会いは僕にとって掘り出し物の経験でした。

関連:
フロンティアの在処――「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」12話感想
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? 感想リスト
★【佳作】『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』(2019/Ave.71.3) text by 闇鍋はにわ深夜アニメの歩き方




<No.9: みにとじ 第7話「ほらいずんどうめい」>
©伍箇伝計画/刀使ノ巫女製作委員会
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 奇跡のショートアニメからは温泉回を。本編に引き続きエモーショナルなエピソードも多い本作ですが、この話は姫和が荒魂以外にやっきになっていること自体が素晴らしい。可奈美達とではなく、ゲーム組の清香や美炎達とそうできているのが素晴らしい。本編によって間違いなく彼女の寂しさは鎮められているんだと感じられるのが好きです。空想の中の可奈美を追いかけて手をにぎにぎする姫和の様子もあまりにインパクトが強い……

関連:
みにとじ 7話感想
みにとじ 感想リスト
刀使ノ巫女 感想リスト




<No.10: ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 第3話「守るべき場所」>
©創通・サンライズ ©創通・サンライズ・テレビ東京
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 ガンダムビルドシリーズ最新作からは、苦さとそれでも守れたもののある3話を。防衛戦というミッションでこの回は、現実への屈服でも甘い夢でもない、本作の目指す地平を描いていました。完璧にはなれなくとも、諦めてしまっては何も守れない。この回で作品の誠実な人柄とでも言うものが見えたから、僕は本作を信用することに決めたのです。
 ビルドファイターズから数えれば4作目、「もういいのでは?」などと思いながら見始めましたが、今ではこのウェットさや優しさが僕の肌にもっとも合っているように感じています。

関連:
力を尽くす意味――「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」3話感想
ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 感想リスト




<選外>
キャロル&チューズデイ 第1話「True Colors」
ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 第5話「いま、翼ひろげて」
まちカドまぞく 第12話(最終回)「伝えたい想い!! まぞく新たなる一歩!!」
どろろ 第24話(最終回) 「どろろと百鬼丸」

ゾンビランドサガ 第8話「GOGO ネバーランド SAGA」
今年見たんです


 以上の10話となります。今年は作品の見方が分かった、あるいは確信できた回の選出が多くなりました。最終回がそれという作品もありますが、けして遅いとは思いません。長い悩みは晴れた時、深い愛着にもなる。その瞬間に対してこそ僕はやみつきなのだと理解できた1年だったと言ってもいいでしょう。この感覚があれば僕はこれからも物語を楽しんでいける。
 10年代の節目である今年は、僕の視聴およびレビューのスタイルにおいても節目となってくれました。悲しいことも腹立たしいこともそれぞれありますし忘れようとは思いませんが、同時に、自分の楽しみの在り処を大切に次の10年を歩んでいければと思います。

関連:
話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選
話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選
話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選
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