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意志の光を盗まれるな――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」89話感想


 我思う、ゆえに我あり。



ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第89話「手の目の呪い」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 「ゲゲゲの鬼太郎」6期89話を視聴。今回のゲスト、手の目は名前の通り手に目がついた妖怪です。つまり顔には目がない――それは彼の頭には意志の光の印が無い、と見ることもできるでしょう。劇中を振り返っても、彼が語るのは妖対法の脅威のみでそのバックボーンとなる自身の考え(例えば人間に裏切られた等)はほとんど示されません。彼は自分の跡を他の妖怪が継ぐと語り自爆しますが、個として己を省みる力を喪失している(だから自爆という己の命を捨てる行為ができる)手の目がばら撒いたのは意志ではなくぬらりひょんに都合のいいアジテーションでしかありませんでした。
 ぬらりひょんは妖怪達に語りかけます。彼の死を無駄にしてはいけない、英雄である手の目に続き立ち上がれ――自分で死地に赴かせたにも関わらず。それは現代の妖怪における「英霊」であるというのは言い過ぎでしょうか? 睨んだ人間の「手を盗む」のが手の目の能力ですが、彼自身は手に留まらず目までぬらりひょんに盗まれてしまった(画面通り!)のでしょう。

 目は手にあってはならない。必要なのは意志の光をきちんと頭に宿すこと。それは実は悩み迷うこととイコールです。陽子はその力を持っているからこそ会議では反対意見を訴え、しかし鬼太郎達妖怪に怯え、銃で撃ち殺すことすら考え、しかし踏みとどまる。そんな彼女の行動こそむしろまともなのであり、鬼太郎に自分と同じだと言わせるものです。鬼太郎が手の目に片目に侵入され幻覚にうなされる姿もまた、彼が悩み苦しみしかしそれによって己を省みる力を持っている証なのでしょう。
 手の目の容姿を起点としたメタファーが抜群に上手く使われた、刺激的な回でした。

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