抜けない毒、覚めない夢――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」90話感想
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G鬼太郎、てっきり矢島晶子さんが演じてるのかと。
ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第90話「アイドル伝説さざえ鬼」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション



「ゲゲゲの鬼太郎」6期90話を視聴。今回のお話は、鬼太郎が倒れ苦しげに呻く場面から始まります。最後までみれば食中毒の描写と推測できますが、それまでは全く触れられません。あれは一体なんだったのか?という謎は、解消されなければ視聴者は苦しみ続けるもの。謎とはすなわち、「毒」であるとも言えます。もちろんその毒は登場人物も罹患するもので、まなは鬼太郎のアイドルデビューをどうして教えてくれなかったのかとねこ娘に問い、ねこ娘は同様の疑問を鬼太郎に抱き、鬼太郎は偽物・G鬼太郎のGの字が何なのか気になって仕方ない。
「あれは一体なんだったのか?」という謎が毒ならばその解明は毒抜き、つまりデトックスです。怪文書にしか見えない手紙を解読してもらったり、さざえ鬼が何を目的に騒動を起こしたのかといった謎は劇中で説明されていくわけですが――その実、毒は今回全て抜けてはくれません。人気を取り戻すためのアイドルユニット結成や、自分を美味しく食べてもらうためのさざえ鬼の遠大を通り越して迂遠にすら思える計画、鬼太郎を食べるためだけの回転寿司設備にそこで食べられる珍妙な鬼太郎寿司の数々。全てがツッコミどころ満載で、ピッタリ合点はさせてくれない。ギャグだからとスルーすればそれは謎になりませんが、偽鬼太郎の急な失踪は混乱を呼ぶから本物の鬼太郎がステージに立って事態を収拾すべきと妙に細かいところを突いてくる有様がおかしさを忘れさせてくれないようになっています。視聴する間ずっと、私達の中には「これは一体なんなのだ?」という謎が、毒が渦巻いている。
鬼太郎は目を覚まし、自分の見ていた奇妙なものが全て夢だったと知りますが、一方でさざえの中に誰かの目を見ます。本当に全てが食中毒のせいで見た夢だったのか? もう騒動は起きないのか? 謎は全て解けていません。抜いたはずの毒は、まだ消えていません。鬼太郎も私達もきっと、未だ毒に冒され夢を見ているのです。
……というのが今回のお話に僕が見たものになります。「この回は何をテーマにしているのか?」という謎と毎回にらめっこする僕にとって、今回のお話は大変な難敵でした。2年間お蔵入りしていた脚本というのも納得です。……ああ、これで一応毒が抜けた。
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