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天邪鬼は2人いた――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」92話感想


 良き天邪鬼と悪しき天邪鬼。



ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第92話「構成作家は天邪鬼」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 「ゲゲゲの鬼太郎」6期92話を視聴。副題にも出てくる「天邪鬼(あまのじゃく)」という言葉には2つの意味があります。1つは今回のゲスト妖怪としての天邪鬼、もう1つは他者や多数派に従わないひねくれ者。もちろん、人の不幸が大好きで指図されるのが大嫌いな妖怪・天邪鬼は後者の性質も兼ね備えているのですが――本当に彼だけが天邪鬼なのでしょうか? ならばなぜ「構成作家は天邪鬼」なんて副題がつけられているのでしょうか?


 今回はもう1人のゲストとして奥田という人間が登場しますが、冒頭、彼は上司に「はいとすいませんしか言えんのか!」と怒鳴りつけられてしまいます。それに言い返すこともできない彼は、人に逆らう力を持っていないと言ってもいいでしょう。だから天邪鬼に腕力で脅されれば人の不幸を撮影する番組を作らざるを得ないし、その企画書を自分ではどうかと思っていても上司に採用されれば否とは言えない。
 そんな彼が劇中初めて人に逆らったのは、実は鬼太郎に企画の中止を求められた時でした。人に逆らえない彼ならば、鬼太郎に従って「やっぱりやめましょう」と天邪鬼に提言し、腕力で脅されやっぱり諦める……というのが自然だったはずです。しかしこの時、奥田は誰に言われるでもなく「この番組を育ててみたい」と鬼太郎に訴えました。鬼太郎が一度は引き下がったのは、奥田が継続を希望したのがはっきり自分の意思だったことも理由の一つとしてあったはずです。奥田はこの時、鬼太郎に対して「天邪鬼に出た」のでした。

 しかし番組が高視聴率を叩き出し、周囲が持ち上げることで彼の意思は逆に薄められていきます。番組の主導権は完全に天邪鬼とねずみ男に握られ、人気ゆえにそれを止めることもできない。「視聴者や周囲が要望しているから」と鬼太郎の再度の番組中止の要望を断る奥田の姿には、以前の自分の意思などというものは見えない。他者に従うだけのいつもの彼でしかない。だから鬼太郎は今度は引き下がるのではなく、妖怪・天邪鬼の方を実力行使で止めにかかります。

 人は他人の行動を真似するものであり、それも人に従うことの一種。息子が自分の作った番組を真似して……番組に従って級友を迫害していたのを知った奥田は、その環から抜け出さねばならないことを悟ります。だから彼は鬼太郎に促されて(従わされて)ではなく自分の意志で天邪鬼に逆らう。腕力で従わせようとする天邪鬼に「天邪鬼に出る」。そんな彼だからカメラも撮影という本来の用途に逆らった使い方、目くらましの投擲用具として使うことができ、事態は打開されるのです。


 「人の不幸は蜜の味」であることはことわざのみならず言われることであり、それは確かに人の本性なのでしょう。しかしだからといって従うだけではいけない。そんなものには「天邪鬼」でいなければならない。だから奥田はそれまでと逆の企画書を山と積みます。そしてそれは、単に彼が向こう見ずになることも意味しません。彼の剣幕に上司はすっかり気圧されており、下手に出る必要は全くないのですが――だからこそ彼は、そこでも天邪鬼に振る舞います。「はい、すいません」と口にします。この物語は天邪鬼なことに、かつて叱られたのと同じ言葉を繰り返すことで奥田の成長を示していると言えるでしょう。


 天邪鬼という言葉には2つの意味があります。妖怪としての天邪鬼、そして他者や多数に従わないひねくれ者としての天邪鬼。そこから「良き天邪鬼」を抽出して見せるような、そんなお話でした。奥田を演じたのは本作の脇役としてすっかりお馴染みの沼田祐介さんですが、今回は事実上彼の主役回だったのだと思います。

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