シーズン外アニメ感想「咲-Saki-」

咲-Saki-を視聴終了。現在放送中の阿智賀編と並行しての視聴でした。
こちらはOPの動画……あ、ごめんなさい間違えました。普段はシーズン外のアニメ感想は日記にくっつけてましたが、今回は思ったより分量が増えたので定例外の別エントリで。
~あらすじ~
宮永咲(みやながさき)は高校一年生。奇跡的な麻雀を打ってのける(毎局プラスマイナスゼロで和了(あが)ることができる)美少女。原村和(はらむらのどか)の天才的な打ち方に感化され麻雀部に入部することを決意する。二人の天才美少女が全国大会の頂点を目指す。
まずぶっちゃけますと僕、麻雀ができません。大学時代のサークルで軽く教わりましたが、もう役も何も3つずつどころでなく分からない。ただあの時期、「麻雀漫画は雰囲気だけで読める」ことは学びました。まあ他の卓上もの漫画もそうですが、話の文法さえ分かれば最低限の楽しみ方はできるんだなと。

その文法面で見た時、麻雀は多くのキャラ数を捌くのに適した題材です。バトルものは基本は1対1。複雑にしても複数対複数で、三つ巴になると先が読み難くなる。しかし麻雀は四人でやるものだから、あっさりと1対1対1対1が成立する。もちろんオヒキという2対2にする道具もあるわけですが、咲は学校同士の大会麻雀なのでこの方法は使えない。

そして団体戦なので得点が継続し、単純な勝ち星以上に明確に結果と思いが引き継がれる。最終戦まで話の流れは読めない。これを見事にやりきった県大会決勝が盛り上がらなかったらむしろおかしい。
ただこの団体戦大会麻雀という状況、同時に多数のキャラを用意する必要があります。その条件を大量の女性キャラでクリアするという発想がまたなんとも華やか。スピード感を損なわないよう描写量はくど過ぎず、ただし妄想を掻き立てる材料は豊富で、贅沢にキャラを使っているなと思わせてくれる。視聴していなかった2009年のTV放映時でも、あれこれとその個性は耳にすることが多かったです。

「ここから、ステルスモモの独壇場っすよ!!」とか

「池田ァ!」とか。

あ、キャプテンが女神なのは一目見た時点で分かります。

ところでこの子、ノダちゃん! ノダちゃんじゃないか!
こうした個性豊かなキャラが大挙して登場する作品なだけに、実際に視聴して初めて魅力を知るキャラも多かったわけですが、完全に想定外だったキャラがいました。というかここから本題。
龍門渕高校の中堅、国広一です。彼女に関わる重要キャラなので、同じく副将の龍門淵透華の紹介も一緒に引用します。
<国広一>

両手の拘束具と頬についた星マークのファッションが特徴的な龍門渕高校の2年生。小学生の麻雀大会で起きた事件がキッカケで麻雀から距離を置いていたが、中学時代に「龍門渕 透華」から半ば無理矢理にスカウトされる。現在は透華の専属メイドとして一緒の屋敷に住んでいる。
<龍門淵透華>

龍門渕高校の2年生。彼女の祖父は龍門渕高校の理事長を務めている、まさに才色兼備のお嬢様。たいへん目立ちたがりで、注目されることに無上の喜びを感じている。その為、マスコミにもてはやされている「原村 和」に対して、強いライバル心を燃やしている。
(ともに公式HPキャラ紹介より)
初めて一を見た時は、「鎖とかシールとか、他のキャラとはまた一味違ったデザインだな」とか「おお、ボクっ娘だ」とは思ったものの、そこまで目を引いたわけではなかったのですが。副将の透華も「うんうん、お嬢様だね」くらいで。

一の拘束具と「小学生の麻雀大会で起きた事件」には密接な関係があります。その事件とは、マジシャンの父親譲りのテクニックで一が行った「牌のすり替え」。チームの窮地を救うために行ったことでしたが、発覚によりチームは強制的に敗退、その後一は麻雀を離れた生活を送っていました。

痴女だー!? いやそれは置いておいて、そんな彼女を麻雀の世界に引き戻したのが透華でした。その財力と権限で一を転校させ、麻雀打ち兼専属メイドとしてあっという間に仕立ててしまう。本人に合う前に手続きを済ませてしまっていたのだから、どれだけ惚れ込んでいたんだか。
ただ、その条件として一に課せられたのが腕の動きを制限する拘束具の装着。透華が求めているのはイカサマをしない一の麻雀。でも、無意識にでもまたイカサマをしてしまうかもしれない。その点についてだけは透華も警戒していて、試合前にも注意するやり取りがありました。

一「たった一つの過去の罪が、ボクを縛り続けるんだな。信用を取り戻すのは、大変みたいだ」
前回優勝校でありながら、3位という苦しい立場で始まった一の中堅戦。最下位から怒涛の反撃で1位まで上がる清澄高校の竹井久に翻弄されながらも、一はイカサマを考えることなく「自分を曲げない、真っ直ぐな麻雀」を貫きます。

一「透華は、手品を使わないボクを買ってくれた。この鎖がなくても、ボクは真面目に打つ。もう、あの時のような思いは二度としたくない。信用を得るためにこの鎖が必要なら、戒めを抱えたままでいい!」


一「ツモ! 3300、6300!」
透華「一が! 一がやってくれましたわ!」
アホ毛が喜びに揺れてる……あれこのお嬢様かわいくね?
そして2位に浮上しての中堅戦終了後、もう拘束具を外してもいいかもしれないと告げる透華に対して、意外にもそのままでいいと答える一。

一「この鎖がなくなったら、透華が少し遠くなっちゃうような気がするんだ」

透華「なっ!? で、でも、家では毎日外してるでしょ?」


一「いや、その時はいつも透華が横にいるんだよ。ほら、ボクは透華付きのメイドだから」
こんなところにキマシタワーが!?
百合百合した要素の強い作品であることは承知していましたが、モモとかじゅ、咲と原村さんあたりがそれっぽいという位しか事前知識はなかったのです。そこにこれは最早事故。地図見ながら歩いていたら載ってない特大のキマシタワーに衝突した気分。ここのやりとりの透華は作画の気合が入っていて、単純に彼女の照れっぷりを見るだけでもニニヤニヤできました。


この後の一は透華思いの描写が目に見えて現れ、視聴者へのアフターケアも万全。特に素晴らしいのは、直後の透華の副将戦始まりの時のやり取り。

一「透華は、相手が強ければ強いほど燃え上がるよね。だけど燃えれば燃えるほど、逆にもう一人の透華が姿を現す。それは酷く冷たくて、ボク達に隙を見せてはくれないんだ」
純「でも、それも溶かしてくれる男が、いつかできんじゃないの?」
一「え? と、透華に彼氏なんてできるわけ……ないよ」
何なのこの子? 馬鹿なの? 僕を悶死させるの?
……とまあ、作品感想なのに一の感想が半分という事態になってしまいましたが、視聴すればこんな風に誰かしらお気に入りの娘が出る作品だと思います。現在放送中の阿知賀編では憧押し。文法を抑えた展開と個性豊かなキャクター達、一粒で二度美味しいアニメでした。