そのキリキリはやめようね/ジョジョの奇妙な冒険26話感想
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ジョジョの奇妙な冒険 第26話(最終回)「神となった男」の感想です。今回も原作約50ページ分。これまでのペースからすればここ2,3話の進行はやや物足りないものもあったのだけど、おかげで最期の余韻はじっくりと描けていた印象。
ジョジョの奇妙な冒険 第26話(最終回)「神になった男」






カーズ「ンンンン いい声だ! 実にいい響きだ…その絶叫を…聞きたかったぞJOJO!」
勝ったと思いきや生きてた、どころか腕が!という大ピンチ。原作では腕が地面に落ちるその瞬間までジョセフもシュトロハイムも何が起きたのか分かっておらず、直後にカーズが全身を現しジョセフが絶叫……といった感じでしたが、アニメでは腕の落下とカーズの再出現がいくらか同時進行に。BGMとあいまって、カーズの不死身さをより強調する形になっています。ジョセフを汗だくにし、また腕が途中からなくなっている様子を大写しにすることでピンチの感は強調し、そこに杉田智和のただごとでない絶叫が響き渡る。このあたりはスローモーションを描きやすい原作に対して、様々な方法でアピールできるアニメの特性を重視した形になっています。
なお、既に溶岩から飛び出したはずのカーズがジョセフの絶叫時にもう1回跳んでいるのはポーズまで含めて原作通り。アニメでは律儀に着地シーンも描いていますが、何で跳ぶ必要があったんだろうかw






カーズが溶岩から脱出できたからくりは原作通りですが、シュトロハイムの右目に拡大カメラ機能を持たせるのはその導入として面白い追加でした。紫外線照射もできるし多機能だな! 解説シーンも最初のプロテクター装着時+図解だけで済まさず、溶岩の中でジョセフに迫る様子や、地球を手のひらに収めるカーズのイメージといった追加をしているのが視覚的に飽きさせません。特に岩を掘り進めていくシーンはオリジナルながら、ジョセフの腕を切断しに行く瞬間のカメラワークも含めて妙に親和性高かったなあ。最初から輝彩滑刀出した方が掘り進みやすくないか?と思ったけど、溶けちゃいますねごめんなさい。






カーズ「バカ者どもがッ! 太陽を克服したいと思わないのかッ!何者をも支配したいと思わないのかッ! あらゆる恐怖をなくしたいとおもわないのかッ!」
カーズの過去は原作では回の切り替わり、冒頭のものでしたが、彼が望みを成し遂げたということをナレーションの最期に付け加えることで、本来前の回の終わりであったシュトロハイムの神発言と繋げ、回想というわけでもないこのシーンを上手く流れの中に織り込んでいます。しかしこの過去、エシディシがどんな風にしてカーズの企みに加わることにしたのかとかサンタナとワムウの子育て風景とか色々想像広がるなあ。






カーズ「そおうだッ! 「波紋」だよォ! このまぬけがァァーーーーーッ!」
主人公の能力をあっさり、より強力に使いこなすラスボス! 「もうまともな方法じゃ勝てない」感を出すにはぴったり。ジョセフとシュトロハイムの様子は、腕切断シーンとは逆に汗を完全カットしています。絶望や諦観を通り越した、もう受け入れるしかないという心境を示すには確かにこっちの方が自然かな。






ジョセフ「当り前だぜッ! このJOJOはなにからなにまで計算づくだぜーッ!(ほんとはちがうけど カーズがくやしがるならこういってやるぜ ケッ!)」
本能で赤石をかざしてからの運命と呼ぶべき逆転劇は、とにかく盛り上げて押し切っちゃう感が素晴らしい。OPが流れだした時は目が点になったものの、噴火でジョセフ達の乗った岩盤が押し上げられるパワフルな映像になったあたりで変な笑みが止まらなくなりましたwww 台詞先読みは、原作ではカーズは全てを言い切る前に灼岩弾をくらって飛んでいったのですが、こちらではくらった後にご丁寧に言い直してますね。この十八番が最期はインチキなあたりがこれもまたジョセフらしい。
そして、タイトルコールのシャウトと共にブツン!とそれまでの雰囲気を断ち切って、我に返るようにジョセフへの皆への別れを告げさせ、原作ではもうちょっと前だったシュトロハイムの絶叫を持ってくる。何この感情のジェットコースター!



ナレーション「―そのうちカーズは 考えるのをやめた」
まさかのCGであるっていうか不意打ちシュールで困る。生命の循環を外れた存在への永遠の罰……といった感の結末が、単にやられて終わるというものより寓話的。「勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」なキャラが非道の報いを受けるのは、ジョジョ伝統の結末ですね。
なおこのカーズ、昨年に「文鎮」が出ていたそうです。よく考えるわwww
ジョジョ第2部ラスボス「カーズの考えるのをやめた文鎮」の実物はこんな感じ(GIGAZINE)






ジョセフ「ギャにィィーッ なんで俺の名が墓に刻んであるんだ!?」
葬式でのやりとりは、原作を知っていても吹き出さずにはいられませんでした。久しぶりに登場のスージーQ、一世一代の大ボケwww 耳にJの字のピアス付けたりうっふんうっふんな足取りで登場したりすっかり人妻に。っていうか逃げる時ばいんばいん揺らしすぎじゃありませんか。1部が新婚旅行で死に別れという悲劇的な結末だっただけに、今度は逆に悲しみの底からハッピーエンドになる揺り返しが実に気持ちいい。






ジョセフの帰還に涙するリサリサと共に流れるのは「Season」。先日発売のサントラの最期に収録されていた曲ですが、1度聴いた時点で「これはアニメ終了までもう聴かないでおこう」と思ってました。リサリサ達のその後を描くのにぴったりの1曲であったと思います。
その後のシーンは原作では地の文で語られるだけであったので、映像化されるのは既読者にとっても感慨深いものがあったなあ。特にエリナについては、家族や友人(スピードワゴンにスモーキーはおろか、ジョセフの娘までいるよ!)にみとられて息を引き取るカットが正に原作の補完でじーんと来てしまう。これは葬式のシーンで、原作よりも感情を表出させていたのも大きいかな。ジョナサンとの結婚式の写真、ジョージⅡ世とリサリサとジョセフの写真、そしてジョセフとリサリサに加えてスージーQとひ孫に囲まれた写真……本当に辛い思いをしてきた人だもの、幸せな最期で良かった。
メッシーナ? 原作でも語られてないから補完しようがないね!






正直に言って、放送開始前は特に期待してはいなかったのですよね。この作品のメディアミックスの難しさは過去の多くの作品が証明してきたわけで(ダメだったとは言わないけど)、どれだけのことができるだろう?というのは疑問でした。が、いざ1話が始まってみればすっかりその勢いに取り込まれてしまい、毎週何度も見返すことに。
この作品でもメディアミックスの難しさというのは感じたのですが、それは否定的なものではなく、スタッフによる原作再現への行き届いた心遣いに感心させられてのものでした。長い台詞や漫画だからこそ許される演出上の無茶といった部分がアニメ式に翻訳されていて、しかもそれが原作との違和感を出さず上手く適合している。「変えることによって元の雰囲気をよりスムーズに伝える」という調整を2クールに渡ってやり遂げた手腕は本当に素晴らしい。毎週、原作と読み比べて違いを見つけて、その理由を考えては唸らされることしきりでした。もちろん、以前も書いた記憶があるけれど声優陣も端役に至るまで演技が行き届いていて、正に熱演と呼ぶに相応しいパワーに満ち溢れていたのも印象的。本当に、感想の書き甲斐に満ち溢れた作品だったなあ。
円盤の売上は大成功のようですし、ぜひ3部4部とアニメ化を続けてほしいもの。とはいえ、何よりもこの半年間の放送、スタッフの皆様お疲れ様でした。素晴らしいアニメをありがとう!
<おまけ>
ニャル子さん非FLASHアニメ1期OPとのMAD。終盤の怒涛の噛み合いぶりが素晴らしい。
その比較動画
こちらは2期……いやまだ本放送始まってないだろ!
3分で分かる第2部的な。



しかしいかん、3部読みふけりたい!なぜ明日からGWじゃないんだ!
前回の感想:ジョジョの奇妙な冒険 第25話「超生物の誕生!!」

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